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俳句へのお便り

宮本維生さんより  2018年6月11日

前略

その後体調は如何ですか?5月に引き続き月に一度の食事会・お喋り会をと思い3度ほど携帯に入れましたが、御留守のようで手紙を差し上げることと致しました。御都合をお知らせ願います。6月5日に貴兄から5月の俳句と句集「こころの歩み」の巻頭に私への文章の依頼が届いており、その事についてご相談をと思い電話したのですが、不通のため、お便りを差し上げた次第です。

 800字位にまとめてとの事でしたが、書き始めると次から次へと900字を越えてまだまだ書き尽くせぬ程になり(それほど熱いお付合いに思いに)何度も推敲を重ねましたが、100字ほど削除できず終い。

文章の右隅に文章ごとざっくりと字数を記載しておきましたので、宮崎さんの方で削除いただければと思います。

私と致しましては、中々削除出来辛く敢えて字数オーバーのままでお届けの無礼をお許しください。

草々

私の心に止まった5月度の俳句

○「行きなさい」病の妻が夏の旅

○臥す妻が勧めてくれる夏の旅

○腕程の大根おろす夕餉かな

○「忖度」を普通に使う五月かな

○宅配便夏衣に変えてと妻の声

俳句は心の日記「俳句は人生の履歴書「俳句は私小説」…僅か十七文字の世界をこんな風に云う先達もいる。宮崎さんが来月出版される俳句「こころの歩み」に「巻頭に800字ぐらいで私とのかかわりで書いて頂けたら有難い。出来れば6月20日ぐらいまでに」とのご依頼の手紙を頂戴し・・・著名な人材・知古が多い中、果たしてこの私でいいのだろうかと、実は一瞬躊躇しました。というのも私と宮崎さんとのかかわりは、きわめて浅く、知り合ってまだ数か月なんです。

 私がこの2月17日2回目の心臓弁閉鎖不全症の手術の為兵庫医科大学10号棟に入院中、院内談話室で貴方より初めて声を掛けられたことが切っ掛けでしたね。

同じ心臓手術を受けた患者仲間としての気安さも手伝ってか、俳句・読書・旅行ほか共通の趣味での話題が互いを引き付け一気に話が盛り上がり、宮崎さんが退院される2月21日までの5日間は終日食事をとる時間を惜しんで話をしましたね。「兎に角宮崎さんの話が面白く」あらゆる知識に対する探究心、巧みな話術に加え、その見識の高さに圧倒されながらも、知的好奇心を大いに刺激され、ひたすら私はメモをとりながら、殆ど聞き役にまわっていたことを記憶しております。

 俳句をつくる上での心構えを伺ったところ「心の日記として一日一句を」「その時浮かんだ心の情景を詠む」との言葉が心に残りました。

穏やかでゆったりとした話振りの中にさえ、」時折感じる鋭い観察眼、物事に虚心に向き合われている宮崎さんの姿勢が句の中にもはっきり見うけられる。

退院後初めて戴いたお手紙と句の中からこれはいいなと印象に残った句は次の三句です。

○誕生に嫁に祝いの春を着せ

 宮崎さんの家族との関係性とその様子、やさしい振る舞いが透けて見えます。祝いの春を着せ、このフレーズが見事に生かされ、良い句だなと思います。

○葉桜や補聴器あれば母の顔

 頭上には花、木漏れ日が地面にユラユラゆれる、こんな清々とした気持ちを彼岸にいる母と共有したいという宮崎さんは思っている。母上は生前補聴器をつけて貴兄と親しく会話をされていたのだと思います。

○父を越す孫の勢い新学期

爺々の気持ちが手に取るように伝ってくる。ここ一番の秀句です。「子が親を超へる孫が子を超へる、その伸び代を見る」これほどに嬉しく心強いものは無いですね。

月に一度の食事会と俳句談義が楽しみです。


by akinishi1122 | 2018-06-16 07:42 | 俳句

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