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世界はラブ&ピース


「世界は今日もラブ&ピース」 渥美二郎 についての感想 坂口哲生
2011年1月9日

1)僕の平日は週末のためにある。決してその逆ではない。ゴールデンウイークも近づいて土曜の朝、少し早めに目覚め、休日であることを確認して、また眠りにつく。この至福の時間、朝の布団の中ほど居心地のいい場所はない。
2)そんなモモ(娘中学1年)との二人暮らしも、もう6年が過ぎた。(離婚しているらしい)
3)僕はキッチンに立つ、離婚前は料理などしたことがなかったのだが、
4)兄は重度の心身障害者だ。
5)実家にいけば、兄のオマルがある。僕はチラシ寿司を食べながら兄の用を手伝うことなど平気だ。臭いもオマルに蓋をすれば別に気にならない。
6)自然界では種に異物を排除せず共生して息のびている。そもそもメスはおオスという異物を受け入れ、子孫を残す。異物との共生なくして、生命はリレーされない。
7)祖母が出来ることを僕がやったら、それも出来なくなってしまい・・・
8)祖母  「おしゅるこにや、塩いれにやいかんでね」塩を入れるともっと甘くなるようだ。社会だけでなくしゆるこにも反体制派が必要なようだ。
9)僕がモモを呼びに行くと、モモはテレビを見たまま振り向かなかった。そのとき祖母が声をかけた.[モモちゃんオシユルコ食べるかね?]「うん食べる、おばあちゃんありがとう」と即座に答えた。人によって態度を変える術などモモはいつ覚えたのだろう。
10)母が仕事から帰ってきた。「ただいま、モモちゃんお世話ありがとうね」「うん」と誇らしげに答えるモモだが、礼を言われるほどのことはしていない。しかし実家に来るのにつきあってくれることだけで感謝しなくてはならないのだろう。
11)僕は「がんばらないようにがんばる」主義なのだが毎朝モモには「がんばれよ」と言う。
12)英文法の演習の問題演習・・「先生なんでそうなるんですか?」「あ、これ
キマリだからこのまま覚えて」「でた、キマリだよキ、マ、リ」僕は笑顔で言う。「観念しな。なんで君を生んだ女性にmotherという?キマリだからゃないの?」 その生徒も諦めて笑いだす。「先生いつもそうなんだよなあ」
13)「頭いいから、それゆえに、英語できない生徒もいるんだよなあ」「先生、それオレのこと?」なんと楽しい授業だろう。
14)大先輩は、博学で、鋭い批評眼ももっている。いつもけっこういいことを言うのだが、上からの目線で言うので、僕はいつも聞き流してしまう。
15)大先輩が「心の準備ができると師が現れる。」と
16)「学力は教師と会っていないときに伸びる。だから僕などに頼らず、うちで毎日勉強すべき」「出た、超イイカゲン」
17)「つまり英語は前にしか進まない。常に前から訳す。わかる?I love Youは私はあなたを愛する、じやなくて、私は愛する、あなたを」「じや、その日本語でテストで○になる?」と体育系の女子学生の一人が言った。
「僕は○つけるけどさ」「他の先生のテストでもそう書いていい?」「それはやめといたら」「ならダメじやん」
18)英語と人生は前にしか進まないから。
19)「先生オトナいろいろあるんだね」
20)水泳部の新入部員をむりに勧誘した生徒をみて「僕なら決して選ばないだろう茨の道を選んだ初心者たちを密かに尊敬している。」初心者たちががんばる姿は他の部員たちに少なくない影響を与えているようだ。
21)もし進化論の通りなら、今生存する我々全員が優秀でなくてはならない。(阪大四方先生)
22)四方先生の実験では、生き残りレースを何度繰り返しても強者だけが生き残ることはなかった。大腸菌は、多様性を維持し、様々なものどうし共存している。
23)教師に不向きな僕でもいまだに教師だ。なんだかおかしくて、うれしくなる。
24)四方先生の研究成果は、なんとラブ&ピースで僕は幸福な連帯感に包まれた。
25)本当のおいしさのためには、まず腹を空かせなくてはならない。次に舌だけでなく体を喜ばせるものを選ぶこと。
26)芸術家は作品を酷評されるよりも無視されるほうが辛いという。ごはんはエサではない。シュフの作品なのだ。
27)別れた妻が週末に娘(モモ)を迎えに来て、「いつも娘がお世話になります」と僕
   「いつも娘がお世話になります」と彼女、いつもの挨拶だ。
モモが中学のことを一気に報告しはじめると、僕はダイニングにもどってた。皿洗いの途中だと装ったが、実は彼女をずっと見ていれなかった。少しまぶしすぎた。
(まだ愛は残っているのだろうと私はみる)二人をおくりだすと、「酒はほとんど飲まない僕だがそのビールの一口はおいしく感じた。いつもは1本のみきれないのだが、今宵は飲みほせそうな気がした。」
28)資源の有限な地球で、強者が弱者を食い尽くせば、天に向かってつばを吐くようなものだ。
29)マイノリテイー(少数派)を受け入れる多様性、そして強者と弱者の相互扶助、複雑にからみあって共生、もしかしたら、生物の細胞すべてにLov and Peaceがインプットされているのだろうか。となると60兆の細胞をもつ人間の中には60中兆ものLov and Peaceの種子が埋めこまれているのかもしれない。
30)祖母はテレビを見ながら、僕にいろんなことっを訊く。モモのことや僕の学校のことなど。僕は祖母にサスペンスのあら筋がわからなくなりわしないかと訊いたら、「時々見れば全部わかる」という。
31)祖母は「あんたも男だでねえ」と突然僕を心配しはじめる。
32)祖母はデートは勧めても、決して再婚は勧めない。
33)祖母と二人で映画に行った。主人公はまぶた以外体を動かすことはできない。叫んでも声もでず、誰にもとどかない。まぶた以外は動かすことはできない。その青年がまぶただけで小説を書くのである。不自由な兄のことを考えた。兄も想像力という翼を持っているのだろうか。たくさんの言葉を内に秘めているのだろうか。言葉を持たない肉体として扱われたはずだ。兄はこちらの言うことは理解できる。ということは声なき言葉を引き出すことも可能かもしれない。
34)こちらはすべて解っているのに、他人はいつまでも赤ん坊のように扱ってくる。そんな兄は、祖母とは意見の疎通ができるようだ。兄の言葉をよく代弁する。
35)祖母は「おばあちゃん、飲んだら?」「いいよ、私ぁ」「飲めなきゃ残せばいいから、飲めば?」「じゃいただくかねえ」にっこりとした祖母はまんざらでもないようだ。
   一度は遠慮するのが祖母の作法なのだ。
36)祖母に大学の学費も相当だしてもらい、社会人になって車を買ったときも、50万円ほど借りた。たしかまだ8万しか返していないと思うが、「そうすきに使っていいもんでもないもんだよ。あんたのおじいちゃんが命をかけて戦争行ってきたもんでもらえるお金だでね」
37)祖母「あんたセンセイだで、しっかりしたのを着にゃいかん」ときずかう。
38)「母ちゃんダーウイン知ってる?」母「お母さんだって人間が猿から進化したぐらい」「微生物はかならず弱者も子孫を残して、強い物ばかり生きのこるんじゃないんだって」「だから父ちゃん母ちゃんの店も生き残るべきなんだって。いくら回転寿司が流行っても」
39)母は、ひと通り僕の演説を聴き終わると、ビールを一口飲んで言った。「そんなの当たり前のことだよ。」僕は黙った。すでにここではとっくにダーウイニズムは乗り越えられている。

以上が僕のこの小説で感じとったセンテンスだが、この小説には現在の日本の家庭でどこも抱えている問題を、一つの家族の生活の中からその原因らしいものも考えさせてくれ、人々は厳しいなかにも高齢者は高齢者なりに家族に心の支えを与え、孫娘はは世代のつなぎ目をおばあちゃんや父、や祖母、そして障害の叔父さんをみて手伝いしたり元気を与えてくれている。世間の苦しいばかりの中で、家族愛が誰一人不必要なヒトはいなくて、みんなで支えあって生きているし。それらがどんな障害にも支えあいして生きているのが日本全体の普通の家族で、どっこい生きているのである。
これらのエネルギーは秘められた力であり、頼りになる力である。
ことを教えてくれている。

by akinishi1122 | 2011-01-10 20:06 | 九条の会

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