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9条の哲学をオペラ演出家 桂直久


第3回 桂 直久さん(大阪音楽大学名誉教授・オペラ演出家)
  いよいよ国会で、憲法の改正が審議されることになってきました。本当に今必要なのは憲
 法の改正でしょうか。私達の生活が、ごく一部の人々を除いて、ますます苦しくなりつつあ
 る今、生活の最低ラインを維持することへの議論と実践が最重要課題ではないでしょうか。
  私は特攻隊の生き残りの一人として、戦後ずっと戦争の悲惨さと罪悪感を考え続けてきま
 した。二度と戦争への道を歩むことはしてはいけないと思い続けてきましたが、世界各地で
 の紛争や戦争もあって、次第に「あの悪夢」が最近特に具体的に身近に迫ってきたように感
 じます。
  戦争を始めるための偽りの「大義名分」はどうにでもいえます。いかにももっともらしい
 言葉で次第に人々をだまし続け、あげくのはてには多くの弱者と若者が、その犠牲になるこ
 とを、歴史が明確に証明しています。
  今、私達がしなければならないことは数多くありますが、「平和憲法」特に第九条の精神
 と哲学を全世界に向けて発信することではないでしょうか。オリンピックで日の丸の旗を掲
 げることもいいかもしれませんが、「第九条」の旗をそれ以上に高く掲げ、戦争の愚かさと
 罪悪性を世界にアッピールすることが、今最も急務だと思います。そのためには一人ひとり
 が、あらゆる場所で、あらゆる機会をとらえて、行動を起こし、世界的規模で「第九条の精
 神」の世論を創り上げる時期にきていると思います。
  スイスのように「永久中立」を日本が宣言することは不可能でしょうか。一切の戦争を放
 棄し、一切の武器を持たず、非暴力を旗印として、アジアの一角で「第九条」の旗を掲揚し
 て、あらゆる平和にかかわる国際会議を日本で開催することは不可能でしょうか。このよう
 な状況の変化の実現こそ、本当の「美しい国、日本」が実現するのではないでしょうか。
  終わりに、非暴力の「非協力運動」(非暴力・不服従)を説き、平和運動に大きな影響を
 与えたマハトマ・ガンジー(1869-1948)の孫娘エラ・ガンジーさんが昨年、初めて日本を
 訪れ、「非暴力」について語られた一部を紹介します。(朝日新聞1月30日朝刊)「人はだ
 れでも平和を望んでいます。でも集団になると利益を主張し始めます。その集団の、特定の
 少数の人たちだけが恩恵を受ける利益です。個人は孤独で無力なのに、集団になると力を背
 景に主張し始めるのも人間です。」と、各地域から意識を変え、世界に広げる重要性を訴え
 ています。

by akinishi1122 | 2010-09-23 10:43 | 九条の会

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