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ノールウエーの船の旅



スカンジナビヤの旅(12)
ノルウェイ船の旅 7月29日(火)
待ちわびてついに迎えし白夜かな
白波も果ては緑となりにけり
似たカラス盗人振る舞いしておりぬ
ビキニ子はタヲルの中に消えにけり
波頭に着きて離れぬ鴎かな
鉄橋を仰げばここも日本晴れ
スクリュの音に見掛けぬ華クラゲ
山は雪船はビキニの旅となり
吾が船の潮目正しき夏の海
朝食のレストランで、ドイツ婦人と席が同じになった。多分50歳代だろうと思う。薬剤師ということだ。病院勤務だが1月の旅らしい。丁度よい機会だから、ドイツの医療保険や教育費について聞いてみた。病院に入れば160ユーロ(25600円)を支払えば後は無料だという。どんな大きな手術もそれで済むという。そして老後も同じで年金の範囲で賄えるから、あまり心配はしていないとのことだ。学校の授業料については私立は別だが国立の大学まで無料だという。年金についてはやはり働いていたときの収入によっての差はあるが、仮に一人の夫人が主婦であったとしても食べていくのに困るということはないぐらいの年金はあるらしい。
またノルウェーの夫婦で旅行している69歳の人と展望室で話たら、ノールウェーも社会保障がうまくいっているようで、旦那は車椅子で、奥さんが介護の補助をしていたが、毎年3回ぐらいは3週間の外国旅行をしているとのことだ。この夫妻も年金なのだが子供にたよらなくても二人で旅行ができるという。旦那は62歳で脳梗塞になり、半身麻痺しての生活だが、病気になった時点から年金がもらえ、普通だと65歳が支給年齢なのだが早く支給の時期が繰り上げてくれるらしい。日本の4月から実施された「後期高齢者医療制度」とえらい違いではないか。日本のは75歳になれば普通の健康保険から切り離され、独立採算制度の方向に持っていく制度、それに病院から高齢者を追い出すことにより病院に奨励金まで出すというのだから、日本は老人いじめの国としかいいようがない。えらい違いではないか。ノールウェーは病院では初回に100ユーロ(1600円)薬代にも同じく100ユーロを払えばあとは無料だという。なんという老人にとって有りがたい仕組みなのか。こんなことは日本の厚生省も知らないはずがないのだが、どうも外国の話を聞くと日本の福祉制度はおかしいのではないかと思う。スウェーデンは歯医者は別で100ユーロが必要とのことだ。
またスエーデンの教育制度は18歳までは無料だが大学は授業料はいるらしい。だが奨学制度があり、生活費まで国から借り勉強したい人は行くことができるということだ。
 夕方子供ずれの若い婦人と話す機会があった。この人とは松葉杖をついていて、8歳の息子がいる。離婚しているが、週に3日仕事に出ているが、子供の養育については困らないし、前の夫と1週おきに子供をみている、とのことだ。いじ悪の質問で、相手が再婚してたら相手もたいへんだろう、と言ったら、沢山の子供わ彼も喜んで面倒をみてくれている。とのことだ。彼女の言うにはノールウェーでは離婚率が50%だからこんなことは珍しくないそうだ。
僕の歳を聞いて自分の父と大体同じ世代だという。彼女は38歳といっているが、姉の子どもを二人連れて1週間の休暇をすごせるなんて、日本人的な考えでは想像できない。屈託ない笑顔が美しい。生活の不安がないということは、人間を明るくするのかもしれない。きわめて政治的な発言もするし、「そもそも日本への原爆投下したことは、アメリカの間違いで人類の生存権にたいしての犯罪だ」とまで言ったり、ロシアについてもチエリノブイ原爆の爆発でノールウェーにまで被害がでているのだから、アメリカもロシヤも嫌いだ」
という。「ブッシュのイラクに対する攻撃は見え透いてアメリカの石油の狙いだ、早く引退すべきだ」とまで言う。日本人で38歳の女性がこんな人に出会ったことがないから、ヨーロッパは国際問題が広く市民の間に話題になるのだろうか。
この息子は8歳だが、「サムライ」を知っているから、こんな遠い国でも時代劇や「腹切り」などと日本人は忘れていたことなどを知っているのだから驚いた。彼女も「タイキョクケン」というのの形をして見せてくれた。
冬は雪の国ということだから、相当寒いのかと思っていたが、22度ぐらいの時が多いらしい。僕も日本の四季折々の写真を送るから、雪のノルウェーの写真が欲しいといったら、「いつでも送るよ」といってくれた。
この話をした2時間後に着く。丁度ノルウェーの真ん中あたりのBODOという所が彼女の里である。アドレスを書いてもらったが文字が小さすぎて完全には読めないから、深夜0時45分に着くからそれまで起きていて、見送ることにした。「もし僕のメールが届かなくてもテストでいいから貴女からメール下さい」と頼んだら、「勿論するよ」と言ってくれた。3人の子供たちには扇子、彼女には日本語の人生訓の書いた手ぬぐいをプレゼントした。
8歳の小学3年生の子のクラスは18人らしい。日本の小学の半分以下の生徒だから、行き届く授業ができて、個性も育つだろうという気がする。日本と反対に個性を育てる教育がヨーロッパでは一般的のようだ。
船の外ではまだ雪山の残雪があり、油を流したような滑らかで鏡のような海にもであえたし、日本の観光地をいたるところにちりばめている。遠くて寒い国だからか、日本人とはついに同じ船には乗合わせないままだ。
佳子から電話メールが入った。久し振りの大雨で被害がでていること、庭の朝顔が満開で沢山咲いてくれていること、満足な船旅を楽しんでいることで安心していること、腰痛が再発しないように薬やビタミン剤を忘れないで飲むように・・・などであった。

by akinishi1122 | 2010-09-09 09:09 | 旅行

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