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ヨーロッパかけある記(56便)
9月6日(木)アテネ・アクロポリス
ホテルを出る時、佐藤郷君という32歳で東京の人が、今から島めぐりに出るということだが、アクアポリスに近くまで、案内してやろうと言ってくれた。
地下鉄に乗らなくて、歩けると、一緒に歩いてくれた。彼は、半年かけての旅行しているらしい。イギリスから始まって、フランス、ベルギー、オランダ、ドイツ、ポーランド、チエコなどで、僕が昨年歩いたコース。今ギリシャに着き、これから島めぐりらしい。勤めていた、ホテルが無くなったから、その機会に来たという。英語は、あまり出来ないと言っていたが、その国の挨拶言葉を、必ず覚えて使うというのが、彼の旅での友人探しになるという。ホテルマンだったからの知恵だなと感心する。僕も、明日から、真似してみたい。名前は佐藤郷君。
 アクアポリスの丘への入り口付近に、古代の「アゴラ」という市場の跡がある。ここに買い物に来る客が、社交場となって、政治や哲学、芸術などについて論議を交わす場所となったそうである。紀元前430年だというから、その時代に哲学者のソクラテス、プラトン、ターレスなどがここから生まれたようだ。「ソクラテスの弁明」という本を若い時、読んだことがあるが、内容は覚えていない。ターレスについては、「万物は流転する」「万物の紀元は水である」などの言葉は、現代の科学の基礎になっているから、弁証法の源流であることとあわせて忘れられない。弁証法はソクラテスが議論の仕方の方法として考えた論法であるから、その正・反・合というのは、現代でも生きている。「対立物の統一(アウフヘーベン)」などと言い現代哲学の源流が、この市場の議論のなかから生まれたのだな、と感動に近い思いで眺めた。
この伝統というか、市場がいまでも賑わっている。
 ターレスの言葉「万物生命の起源は水」というのは、現代の生命科学で実証されているから、驚きである。海から生物蛋白が生まれ、生物に進化し、地上に上がり、動物・人間にへと発展したのだから、2400年前にこんな予言をしたのだからすごい。そして、万物は流転すると言ったのも、絶えず変化し、進化し、死滅していく、この繰り返しで、発展していくと言った。そんな人達がここで育ったし、パルテノン神殿などの、石の建造物の柱が10mもあるのに、上の方が自然に細く仕上げられ、溝まで全てにつけられているのだから。計算された、幾何学も、度量衡も完成していたことになる。
基礎工学がなければ、柱の上に平らに石を横たえることは、必ず不等沈下する恐れがあるのだから、それを計算にいれなければ、2000年も保たれないはずだ。
岩の山を歩いてみると、堅くて人が沢山歩いているから、つるつるしている。磨いたように光っているところをみると、相当堅い岩盤であったに違いない。だから、この堅さを刻むための道具の鍛治の技術も完成していたことになる。
 デイオニソス劇場が、また凄い。現代のオペラ劇場や、映画演劇の舞台と同じ様に、扇型になり、舞台が拡声器がなくても、声が野外でも100mぐらいの座席まで聴こえる設計だ。2000人ぐらい座れる座席がある。演劇の鑑賞ができる。それが、野外だ。演劇を鑑賞する文化というのは、人間を客観的にみて、自分を客体化することだから、様々な人間の生き方を演技者によって、教えられたり、感動したれするものだ。人間関係も複雑であったことの表れであろう。
 こんなことを考えなが、途中で日本人女性二人と一緒になった。神殿の下界に見える石柱を見に行くために、一緒に道を探しながら歩いた。パルテノン神殿から、全市街を見ると、下界ということになるが、建物が密集している。アテネの人口が340万だったというから、いまでも都市国家である。
そして、ここで、たしか、初めて、民主政治、代議制というのが生まれたと記憶している。オリンピックもその民主制の一つの形として、「武力で争わない」という思想から生まれたのであった。やはり、民衆が議論する、という習慣が、民主主義や、哲学は生まれてくるのであろう。
地理的にみれば、決して、豊かな地形ではなさそうだ、岩山だから、樹木や緑が育ちにくい。だから、水も少ないかもしれない。だが、近くに海や島があることで、色々の文化の交流は容易であつたかもしれない。そのために地形的なハングリーが、ギリシャ文明を育てたのではなかろうか。
 二人の女性は、昨日、御互い、このホテルで知り合った仲という。小金丸いずみ(福岡の看護師)久保田智子(東京のドコモを退職)、3ヶ月の世界旅行中だそうだ。昼、暑いから、ビールに付き合ってもらった。僕が料理を取ったら、ボリュームがあり、パスタみたいで、3人で食べるのに十分だった。いずみは飲まないが、ジュースだったかた、僕は中ジョッキー2杯、智子は飲めた。全てで15ユーロだから大変安い。そして、店の外だったから、日陰だと大変爽やかで気持ちが良い。彼女等は、二人で島めぐりに出るらしい。ホテルに帰り5時前に別れた。
 シャワーを浴び、明日の計画を考えた。ブルガリアのソフィアへ行くには、相当の距離のようだから、明日はギリシャの国境に近いThessaloniki
という街まで行けばいい。ソフィアまで無理せずに行けるだろう。時刻表で調べたら、9時20分発があるから、それだと、15時3分に着くから、そこで1泊しようと思う。ホテルの女主人に聞いたら、そこには、YHAなどがいっぱいあるから、心配いらない、というから、早く着きさえすれば探せるだろう。
どの駅からの発で、このホテルから、どのくらいかかるか、歩いてみた。僕の足で15分もあればいけると確認できた。駅を探すために聞いたのが、日本人で愛知からきている、一人旅の娘さん、僕がホテルに帰ったら、「ちゃんと行けただろうか」と探しに来てくれたという。もう夕食は済ませたというが、僕が昨夜食べた、ナスビの味噌煮があるから、案内した。彼女は料理の研究家で、アジアの料理文化を調べているという。やはり、3ヶ月の一人旅という。ビールは飲まなかったが、僕の料理の味見をしてもらったりしながら、語りあった。大きな店の店長もやっていたし、人間関係の機微も知っている人だ。30歳というが、なかなかしっかりしている。帰国したら、店をもつようである。人間関係や、仕事についての考えなど、僕の41年の経営する中で考えたことを話したら、沢山メモをしてくれた。
なかなかの美人である。11時頃まで語りあった。彼女はもう1日ここにいて、イタリアに向かうらしい。

by akinishi1122 | 2009-06-07 21:51 | 旅行

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